あ、おやつの用意しなくちゃあ!!
私は、慌ててキッチンに行くと冷蔵庫の中身を開けた。
冷蔵庫の中身は、食材とプリンが入っていた。
プリンを取り出したら手洗いを終わった睦月君が
丁度こちらに来た。

「睦月君。美味しそうなプリンがあるわよ。
あと飲み物は……」

もう一度冷蔵庫を見たらオレンジジュースだけだった。
あ、昨日こぼしちゃったんだった。
新しいのを買って来ないと…と思いつつ
オレンジジュースとプリンを用意する。

ソファーの方にあるテーブルに持って行くと
睦月君は、プリンを食べてくれた。
それを見ながら昨日の挽回をしたいなぁと思った。
せっかく編集者についたのだ役に立ちたい。
あ、そうだわ。夕食を作るなんてどうかしら?

先生と2人暮らしなんだし。
確か河合先輩もやっていたはずだし。
なかなかいいアイデアだと思ったし役に立つと
しかし、やはり思いつきでやるとろくな目に遭わない。
ガッシャンと見事に皿を割り、また鍋などを派手に落とした。

あーまた、やっちゃった!?
これだと昨日とまったく同じじゃない。
しまったと思った時は、もうすでに遅かった。
すると先生が不機嫌そうに入ってきた。

「小野木。お前…俺の邪魔しに来たのか?
邪魔しに来たのなら帰れ!!」

凄い目付きでギロッと睨まれた。
その表情に思わず震え上がった。怖い……。
それだけ言うと先生は、さっさとリビングから
出て行ってしまった。
しゅんと落ち込みながら割れたお皿を片付けた。
どうして、私ってこうなのだろう。

やる気は、人一倍あるはずなのに上手くいかない。
空回りばかりで…嫌になってしまう。
これでは、また担当を外されてしまう。
カチャッとお皿の破片をゴミ袋に入れていると
睦月君が近寄ってくる姿が見えた。

「あ、睦月君。お皿の破片が落ちて
危ないから近寄ってきたら……」

慌てて止めようとすると手には、
バスケットボールを持っていた。えっ?
何でバスケットボール?
きょとんとしている私にボールを差し出してきた。
もしかして……これって。

「外で遊びたいの?」

そう尋ねると睦月君は、コクリと頷いた。
外か……それなら先生に迷惑をかける事はないかも
落ち込んでいる時に外の空気を吸いに行くのも
悪くないかもしれない。

「うん。一緒に行こうか」

私がそう言うとまた、コクリと頷いてくれた。
片付けてから先生の部屋に行き外側からノックをして
外に行くことを伝えた。