先生は、真っ直ぐと前を向いて話した。
正直で飾り付けない言葉だ。
ヒヤヒヤする発言ばかりだけど、先生の誠実さが
伝わってきた。改めてカッコイイと思った。
編集者ではなくても私は、
先生のファンであり続けたいと思った。
「わ、私も蓮見先生の小説のファンです!!」
だから、思わずそう発言してしまった。
周りは、驚いて私を見る。ハッとする。
また、やらかしてしまった。
身体中から火が出るぐらい恥ずかしくなる。
でも言わなくては。先生や睦月君のためにも…そして
大好きな先生の作品を守るためにも
「私も最初見た時は、正直驚きましたが
先生に怒られてばかりだけど
仕事やどれに対しても真面目で優しい人です。
真剣に仕事にも打ち込んでいて
そんな疚しい事なんてしていません。
私も先生の作品のファンなので断言が出来ます!」
思いきって自分の気持ちを伝えた。
周りのざわつく取材陣。
先生も驚いて私を見ていた。恥ずかしい……。
ますます身体中が火照りそうだ。
「……小野木……お前……」
しかし、まだ食い下がらない報道陣の1人が
ツッコんでくる。
『それは、また……意味深い発言ですね?
こんなに熱く語るなんて、やはり
蓮見先生に対して特別な感情が?』
マイクをこちらを向けて来ようとする。
ひぃぃっ…もしかしてやぶ蛇だった!?
だが、その瞬間だった。
先生に抱っこされてるはずの睦月君は、ガツッと
そのマイクを掴まえた。あっ!?
「……おじちゃん。しつこい人は、嫌われちゃうよ?
それに人の恋愛事情に首突っ込むのは品がないよ」
睦月君は、その報道陣の男性に言った。
私も報道陣の人達も驚いた。もちろん私も
『これは、またしっかりとした息子さんですね。
おいくつなんですか?』
『パパ似なんですね。可愛い~』
注目が一気に睦月君に行ってしまう。
た、助かった……。
もしかしてまた私を助けてくれたのだろうか?
そうだとしたら睦月君には、助けてもらってばかりだ。