先生は、お粥を小さなお碗にすくうと
ふぅーふぅーして食べさせていた。
仲のいい親子だ。するとテレビの芸能ニュースで
昨日のことがやっていた。

『人気イケメン俳優・神野飛鳥(21)
路上で大胆告白も見事フラれる!?』

私がフッたことだけではなく
睦月君や先生のことまで報道されていた。
目撃者のインタビューまでされている。

「あの一般男性……凄くイケメンでした。
三角関係かな?
ドラマを観ている気分でした~」

「男の子めっちゃ可愛いかった。あの男性の
お子さんらしいですよ。しかしあのフラれよう……」

たくさんの人が噂をしていた。
どうやら神野飛鳥の一方的な片思いとしていたが
フラれてしまったこと。
芸能人並みにイケメンの先生と睦月君のことで
かなり話題になってしまったらしい。

どうしよう。
これだと取材されることが嫌いな先生にも
迷惑がかかってしまう。すると食べていた睦月君が

「……良かったね。お姉ちゃん。
これでお兄ちゃんのこと誤解されずに済むね」

そう言ってきた。えっ……?
それは、どういう意味だろうか?
私は、首を傾げると先生は、ため息を吐いた。

「睦月……お前。わざとやっただろ?
こうなると知っていてそうなるように仕向けただろ?」

先生が呆れながら言うと睦月君は、コクリと頷いた。
えっ?じゃあ。あれは、わざとやっていたってこと!?
神野さんが、強引に迫ってくるから
ただ睦月君が見かねて助けてくれたものだと思っていた。

「そ、そうだったんですか!?」

「あれは、助けるのも含めてあの男に
これ以上お前とややこしい事をさせないように
防犯を張ったんだろう。
片思いにフラれたのなら……これ以上やっても
ただのみっともない男だからな。違うか?」

チラッと先生が言うと睦月君は、コクリとまた頷いた。

「あのお兄ちゃん……邪魔だよね。
お姉ちゃんを独り占めしようとするんだもん」