そして私達は、涼太君のお兄さんの車で
学びの森に行った。近くの駐車場に停めて私は、翔馬君を。
お兄さんは、涼太君の車椅子を押して行く。
イチョウ並木通りに向かうと確かに。ずらりと並ぶ
イチョウの木や雰囲気は、あの韓国ドラマを
再現しているかのようだ。今は、秋ではないので
イチョウではないが、たくさんの緑の木も
気持ちをリラックスにさせてくれる。何より綺麗だ。

周りを見てみると小さな子供連れた家族連れや
子供達が駆け回りはしゃいでいた。
韓国人だろうか?観光客らしき外国人は、
数人で景色やお互いの写真を撮ったりしている。

「秋に来るともっと綺麗なんだよ!
イチョウ並木が黄色に染まっていて、写真を撮るのに
最適な場所なんだ」

そう話してくれるお兄さんの首もとには、
カメラがかけてあった。そういえばお兄さんの趣味は、
写真を撮ることだって涼太君が言っていたっけ。
意外な趣味だなぁ~と私は、思った。

「秋にまた来ればいいじゃん。それよりも
圭一兄ちゃん。写真撮って。菜乃と2人のやつ」

「えっ?私と……?」

「当然じゃん。せっかくなんだし記念に残そうぜ。
早く、早く……」

翔馬君は、私と一緒に撮りたいとお兄さんに
おねだりしていた。何だか恥ずかしいが
私も翔馬君との2人きりの写真が欲しいと思った。
涼太君のお兄さんは、クスクスと笑いながら
分かった、分かったと言ってくれた。
そしてイチョウの木をバックに翔馬君の後ろに並ぶ。

「ほら、もっと引っ付いて」

「翔馬。俺の前でイチャつくな。離れろ!!」

「涼太。横でうるさい。邪魔するな」

涼太君とお兄さんのやり取りに思わず
2人して笑ってしまった。
引っ付いてと言われたり離れろと言われたり
兄弟喧嘩が忙し過ぎて何だか可笑しい。
笑っているところを最後には、撮られてしまった。
まぁこれは、これでいい思い出だろう。

そしてお昼にすることに。
敷地内にあるお店で蒸しパンと飲み物を注文する。
テラスと鏡越しになっている小さな店舗なのだが
緑茶チョコやチーズなどいろんな種類の
蒸しパンが大好評らしい。
何度か東海関連のテレビの取材にも紹介されたと教えてもらった。