それは、仕方がないことだ。
お互いに言葉を無くしていると美紀子さんは、
アハハッと豪快に笑ってきた。
「大丈夫よー2人の邪魔なんてしないし。
もしキスでもしてても見ないふりをしてあげるから」
えぇっ……キス!?
美紀子さんの発言に驚いてしまった。
そ、そんなつもりはないのに……。
翔馬君をさらに真っ赤になっていた。私も釣られそうだ。
「変なこと言うなよ……美紀子おばちゃん」
「フフッ……あら、ごめんなさい。
あなた達には、ちょっと早かったかしらね?」
人をからかうように言ってくる美紀子さんに
余計に恥ずかしくなってしまった。
お互いに意識をしてしまった。
そして結局。美紀子さん達と一緒に花火大会に
行くことになり車を出してもらった。
車だとそんなにかからない距離だが花火大会もあり
混んでいた。翔馬君の叔父さんの話だと
帰りは、もっと混むらしい。なので帰りは、
少し早めに切り上げることになりそうだ。
近くの駐車場に車を停めると翔馬君の叔父さんは、
手早く車椅子セットした。そして翔馬君を軽々と
車椅子に座らせた。こういう姿を見ると私は、
まだまだ足りない。もっと力をつけたいと思ってくる。
そして車椅子を押して長良川まで少し歩いた。
長良川は、翔馬君が教えてくれたが鵜飼で有名らしい。
鵜(ウ)を使ってアユなどを獲る漁法の1つ。
現在では漁業というより、観光業として行われている
場合が多い。どんな風に獲るのか興味がある。
そして花火大会。こちらも岐阜で1番らしい。
早く見てみたい……そう思っていると翔馬君は、
「なぁなぁ菜乃。かき氷食おうぜ。
たこ焼きもいいけど……やっぱり焼きそばもいいよな」
花火より屋台に夢中になっていた。
どうやら翔馬君は、花より団子らしい。
もう……翔馬君ったらムードもあったもんじゃない。
呆れながらも私は、頬を膨らました。
それを見ていた美紀子さんは、クスクスと笑っていた。
仕方がないのまで焼きそばとかき氷を買うと
河岸の広場の方に降りた。階段は、確かに急で
凸凹しており私1人だと難しい。すると美紀子さんは、
翔馬君をおんぶをすると叔父さんは、車椅子を畳み
持ち上げて運んだ。そして敷物を敷くとそこに座らせた。
簡単にやってしまう2人に感心しながらも
やはり1人だと難しいのだと痛感する。
しょんぼりとすると翔馬君は、私に焼きそばが入った
袋を私に差し出してきた。