「あぁ……これか?母さんに着付けてもらった。
帯がマジックテープになっているから
車イスの俺でも着せやすいんだぜ」
へぇ~そうなんだ!
確かに車椅子の翔馬君に浴衣を着せるのは、大変だろう。
今は、マジックテープとかがあるから
気軽に浴衣とか着やすくなっていた。
「それよりも……お前……その……」
「あら。可愛らしいじゃない菜乃ちゃん。
さすが女の子ねぇ~華やかで美人さんだわ。ねぇ翔馬君」
頬を染めて言いにくそうにする翔馬君の横で
美紀子さんが被せるように言ってきた。
翔馬君は、ますます頬を真っ赤さにさせてしまう。
あ、照れちゃった……。
「美紀子おばちゃん。空気読んでよ……」
「えっ~だって翔馬君ったらなかなか言わないから
私が代わりに言ってあげたんじゃない。
も~奥手なんだから。呆れちゃうわねぇ~」
呆れちゃうと言いながら大笑いして
翔馬君の背中を思いっきり叩いていた。痛そう……。
本人も痛そうに眉を寄せていた。
「おばちゃん……痛いよ」
「あら、ごめんなさい。それよりも
花火大会は、私達も一緒に行くことになったから」
えっ……?
美紀子さんの言葉に驚いた。ってきり私と翔馬君の
2人きりで行くものだと思っていたから
何だ……2人きりじゃないのか。残念な気持ちになった。
「だから俺と菜乃だけで大丈夫だって。
それだとデートの意味ないじゃん!!」
「ダメよ~行くまではいいけど河岸辺りは、
階段があるから菜乃ちゃんだけだと翔馬君を下に
降ろせないじゃない。混雑するし危ないわ」
確かに階段を降ろすには、私1人だと無理だ。
力が居るため誰かに手伝ってもらわないといけない。
それに人混みも多いなら、もたもたしていたら
周りの人に迷惑になってしまう。