「あら、あの子も言うじゃない。
好きな子を守れないほどだなんて……なかなか
カッコいじゃない」

「アイツも成長してきたな。男気溢れる台詞だ」

「でも、翔馬君のお母さんに許せてもらえて
良かったじゃない。きっと菜乃ちゃんの純粋や
翔馬君の前向きさが届いたのよ」

美紀子さんの言葉にうんうんと納得する
翔馬君の叔父さん。純粋さ……?
それは、どうか分からないけど私にとっては、
大きな一歩だった。少しずつでいい翔馬君のお母さんに
本当の意味で認めてもらえたいと思った。
まだまだ先の話しかもしれないけど……。

そして、それからも私は、翔馬君のお見舞いに
行ったり代わりにお店を頑張ったりした。
翔馬君が無事に退院が出来たのは、次の週の火曜日だった。

「心配おかけしました。
無事に退院して復帰したので
今日からまたよろしくお願いしまっス」

ニカッと笑いながら美紀子さんにお礼と挨拶していた。
いつもの明るくて元気な姿を見せてくれた。
翔馬君の笑顔を見るとこちらまで元気が貰える。
私もこの日を楽しみにしていた。

「本当に心配かけて。この子ったら……もう。
今日からまた頑張って手伝ってもらうわよ」

「えっ?そんなぁ……俺治ったばかりだぜ?」

「甘えない」

美紀子さんは、そう言いながら笑った。
いつもの風景だ。フフッと笑っていると翔馬君は、
私をチラッと見て苦笑いしていた。
やっぱり翔馬君が居る方がいい。
太陽みたいにお店がパアッと明るくなるから。

挨拶が終わるとその後。
ホールで手伝いをしていた。私は、いつものように
イチゴのヘタを取り半分に切っていく。
翔馬君は、泡立て器で生クリームを慌てていた。
すると翔馬が私に

「菜乃。今度の日曜だからな。
母さんには、車頼んでおいたから」

「あ、うん。分かった」

「着いたら映画観ようぜ。俺観たい映画があるんだ!」