「アハハッ……よく言った。
頼もしいわねぇ~」
「そうだな~」
えっ……?
周りを見ると店内だと忘れていて注目を浴びていた。
あ、えぇっ!?
私も翔馬君も恥ずかしくなってしまい
お互いに耳まで真っ赤になってしまった。
その事は、帰ってから祖母にも話した。
するとクスクスと笑っていた。
「それは、いいことねぇ……翔馬君って子は、
菜乃ちゃんに前を向いてほしいのね」
「そうみたい……ねぇ、お祖母ちゃん?
私、前を向いて歩けるかな?」
祖母と一緒に夕食を食べながらボソッと呟いた。
このままではダメだと自分でも思う。
でも、今でもイジイジとして何も出来ないのに
これから変わることが出来るのだろうか?
すると祖母は、箸を止めると私の方を見た。
「大丈夫よ。菜乃ちゃんなら。
現にバイトを始めたり少しずつでも進もうとしているわ。
お母さん達喜んでいたわ。それってあなたにとっては、
大事な一歩でしょ?」
大事な一歩……。確かに少し前の私なら
バイトなんて考えもしなかった。
それも……前を向く一歩。
「だから大会には行ってみなさい。
そうしたら、また新しいモノがあるかも知れないわ」
「う、うん。」
そうだといいな。少し弱気になっていた自分。
でも変わりたいと思う自分も居た。
これから強くなれるなら私は、変わりたい。
そして東海車椅子バスケット大会の当日。
私は、翔馬君夫婦の車に乗せてもらい会場に向かった。
翔馬君は、両親の車で先に向かったようだ。
会場に着くと中に入った。
広いバスケコートには、翔馬君の他に
車椅子の選手がたくさん居た。
「うわぁ……凄い」