「とにかくお前は、何も悪くない。
そんな奴の言いなりになる必要はないし
学校に行きたくないなら無理に行く必要ないからな!?」
えっ……?
「学校に行かなくても……いいの?
学校や親は、先生や行け行けと言うし
逃げたらダメだって言われたし」
何度も言われた。先生からは、相手から逃げたら
ダメだって。喧嘩なら話し合いなさいとも言われた。
何度も無視されるからと言っても聞いてくれなかった。
だから余計に辛くて行けなくなって……。
「イジメられるって分かっているのに
学校に行ける訳ないだろ!?無神経な奴らだな。
それに。別に選択肢は、そこだけではないし
別の選択だってあるんだ」
別の選択……?
翔馬君の言葉は、思いつかないことばかりで
衝撃的だった。逃げてもいいの……?
「今なら通信だって転校だって出来る。
そこまで、その学校にこだわる必要はないぜ。
逃げとか誰かが勝手に決めつけているだけで
それが不正解とは限らない。
心を壊すぐらいなら逃げちゃえよ!
こんな学校こっちから願い下げだと言ってやれ」
翔馬君は、逃げる事が悪いことではないと
言ってくれた。私の代わりに怒り
不安だった私を優しくて包んでくれた。
行かなくちゃあ……そればかり考えていた。
私を初めて理解してくれた。それが嬉しくて
自然と涙が溢れてきた。
「あ、ご、ごめん。
泣かすつもりはなかったんだ……」
泣き出す私を見て翔馬君は、慌てて謝ってきた。
違う……翔馬君が悪いのではない。
嬉しかったからだ。
「ううん……嬉しかったの。
ずっと理解してほしかったから」
「菜乃……」
「ありがとう……翔馬君。
何だか元気が出てきたわ」