2人は、夏休みの宿題を忘れていたらしく
みるみる内に顔色が悪くなっていた。
どうやら後で慌ててやるタイプだろう。
「それは、いけないなぁ……帰ったら
ちゃんとやるんだぞ?菜乃ちゃんは?
まだ途中かな?」
「えっと……は、はい」
嘘だ。本当は、学校に行っていないため宿題は、
出ていない。普段なら終わる前にやる方だが
翔馬君達より問題だろう。
きっと私も同じぐらいに真っ青になっているかも
「そっか……菜乃ちゃんも忘れないようにね?」
「は、はい。」
涼太君のお兄さんに言われ私は、戸惑いながら
返事した。胸が痛んだ……。
正直に不登校だと話せない自分に。
「まったく。兄貴は。うるさいよな。
学校の先生だから仕方がないけどさ……」
ため息まじりに言う涼太君に私は、驚いた。
えっ?学校の先生なの!?
社会人かも?とは思ったが教師のイメージがなかった。
意外だ……。
「そう。これでも高校教師なんだよね。
まだまだ半人前の新人なんだけどね」
苦笑いしながらそう言うお兄さん。
でも、こんなにイケメンで優しい雰囲気の
先生が居たらいいだろうなぁ……と思った。
真由香達は、キャーキャーと騒ぎそう。
あっ……また真由香達を思い出してしまい
しゅんと落ち込んでしまった。
どうしても思い出したくないのに比較してしまう。
比べても落ち込むだけなのに……。
「宿題と言ってもさ……量とか多いんだぜ?
翔馬は、何処までやった?」
「俺は、まだ全然。
数学なんてまったく触れてもいない」
「あ、俺も……この前。亜美に答えを聞こうとしたら
自分で考えてやれと言われちゃってさ。
教えてくれねぇーの」