「うーん?航空宇宙博物館とかは、最近
リニューアルしたばかりだけど
古い飛行機とかも展示しているからカッコいいし
自衛隊による航空祭には、ブルーインパルスとか
飛ぶぜ。イオンは、広くてさ。
若者向けの服や雑貨とかたくさんあるし映画館もあるぞ」
詳しく教えてくれる翔馬君の表情は、
何だか楽しそうだ。
きっと自分の生まれ育ったこの街が好きなのだろう。
私と違い羨ましい限りだ。
「そっか……素敵なところなんだね。
岐阜もだけど各務原って。
私も行ってみたいなぁ……そのイオンとか」
もしかしたら新しい発見があるかもしれない。
不思議だ。あんなに引きこもりがちだったのに
今は、行きたい場所が出来ていた。
翔馬君が楽しそうに話してくれるからかもしれない。
「あ、あぁいいぜ。なんなら案内してやろうか?
ついでに映画とか観たりしてさ……そこに女子が好きな
パンケーキとかあるからさ」
「翔馬君ったら、どさくさに紛れて
菜乃ちゃんをデートに誘っているし」
「青春だねぇ~」
うんうんと話している美紀子さんと翔馬君の叔父さん。
で、デート……。
そんな雰囲気になっていたのかと分かり
恥ずかしくなってしまった。
「ち、ちげーよ。あくまでも
これは、観光案内だし。デートとか
そんなのではないし……」
耳まで真っ赤になって翔馬君は、慌てて否定していた。
嫌だったのかなぁ……?
全力で否定されると何だか胸の辺がズキッと痛んだ。
「嫌だ……この子ったら照れちゃって」
「初々しいねぇ~」
「だから違うって!!」
ニヤニヤと笑う美紀子さんと違い
翔馬君は、さらに真っ赤になっていた。
あれ……?嫌ってより確かに照れているように見えた。
そう思ったらさらに私まで恥ずかしくなってきた。