「じゃあプリン買ったから帰るわ。またな翔馬」
「あぁ、今度。ゆっくり店に来いよ!」
村瀬君は、翔馬君に言うと1年生の弟君の手を繋いだ。
その際に私を見ると軽く頭を下げてきた。
私は、驚いたが同じように頭を下げた。
頬が少し赤かったからまだ照れているのかもしれない。
だが村瀬君のことが少し理解した。
怖いと思って居たが本当は、照れ屋で女性慣れしてなくて
弟さん思いの優しい人なんだと知る。
人は、見た目だけで判断出来ないと言うが確かに
そうなのかもしれない。
「菜乃~?さっきから歩斗のことばかり見てるけど
まさか気になるとか言わないよな?」
「えっ?違うもん。クラスで隣の席になったけど
ツンツンしていたから……ちょっと不思議に思っただけ」
「本当にか~?」
私が村瀬君に気があるのではないかと疑う翔馬君。
そんな訳がないじゃない。今日会ったばかりなのに
そりゃあ意外なギャップに驚いたけど
だからと言って気がある訳ではない。それに
好きなのは、翔馬君だけだし……。
「あら~三角関係の予感かしら?」
「ち、違うし!!」
美紀子さんは、それを聞いてニヤニヤと笑っていた。
私は、恥ずかしくなるが翔馬君は、ムキになって
怒っていた。美紀子さんまで……。
私は、ため息を吐きながら窓から見える人達を見た。
プリンは、おやつに買っていたのだろう。
もしかしたら村瀬君も食べるのかな?と……。
次の日。学校に行くと数人の子がおはようと
挨拶をしてくれた。私は、嬉しくなり返事を返した。
席に着くが村瀬君は、まだ来ていないようだった。
村瀬君が学校に来たのは、授業が始まった後だった。
遅刻だ。しかし本人は、気にすることなく
あくびをしながら気だるそうにしていた。
「あの……おはよう」
私は、勇気を出して挨拶をしてみた。
すると何も言わずに無視をされてしまう。
やっぱり……女子は、苦手なのかなぁ?と
無視されたことにしょんぼりしていると小さな声で
「おはよう」と返してくれた。
えっ?と見るとこちら見ないし表情を変えなかったが
頬が少し赤くなっていた。