しょ……翔馬君!?
堂々と自分の彼女だと話すだけではなく
教えてやれなんて……。
怖い……そうじゃなくても怖いのに。

村瀬君を見るとはぁっ?と言っているような表情で
こちらを睨み付けてきた。
鋭く睨むように見られて全身震え上がった。
怒っているよ……凄く。
ひぃぃっ……と泣きたくなるとそれを見た翔馬君は、
ハハッと笑い出した。

「アハハッ……大丈夫だって。菜乃。
コイツ普段から目付き悪いから誤解されやすいけど
根は、いい奴だから。あと女慣れしていないから
照れて話しかけられないだけだし」

「ちょっ……余計な事を言うなよ!?翔馬……」

翔馬君の発言に対して恥ずかしくなったのか怒っていた。
しかし耳まで真っ赤になっており照れているのが
こちらまで伝わってきた。
えっ……照れていただけ……?

「どーせ。菜乃に睨み付けてビビらせたんだろ?
いつもそうじゃん。急に近寄ったり話しかけられると
緊張して睨み付けて怖がらせてさ」

「うるせーよ。しようがないだろ。
俺ん家。母親居ないし、男兄弟ばかりだし……」

そうだったんだ……?
父子家庭で男兄弟何だとは驚きだ。
それなら女性に免疫がないのも頷ける。
そうか……怒っている訳ではなかったんだ。

てっきり何か怒らしたんじゃないのかとか
悪いことばかり考えていた。
照れて話しかけられないとか意外と可愛らしい人だった。
ホッと胸を撫で下ろしているとまた店内のドアが開いた。
小学生ぐらいの男の子2人だ。すると笑顔で
バタバタと店内を走り村瀬君の足や腰にしがみついてきた。

「歩斗兄ちゃん。プリンは~?」

「今、買っているから大人しくしていろ。
店の中を走るんじゃねぇーよ!!」

「えっ~」

そう言いながらキャハハッと笑う男の子達。
小学1年生と3年生ぐらいだろうか?
弟さんだろう。あまり似ていないけど……。
美紀子さんからプリンを貰うとお金を支払い
3年生の子に渡していた。その際に頭を撫でてやると
ニコッと笑う弟さん達。
どうやら家では、優しくていいお兄さんのようだ。