翔馬君!?泣いていたから拾ったって……。
まるで犬猫みたいな発言にショックを受ける。
酷い……泣きそうになっていたけど泣いてないし。
ムスッと頬を含ませると
「あ、こら。翔馬君ったら
女の子に対して失礼な言い方して。
まったく昔から口が悪いんだから……もう」
「悪ったな。口が悪くて」
翔馬君がそう言うと美紀子さんと
祐一郎叔父さんって人は、苦笑いして謝ってきた。
仲がいいんだなぁ……。
3人の仲の良さは、何だかこのお店の雰囲気に
よく合っていて胸がポカポカとあたたかくなった。
この雰囲気……好きかも。
「それより……菜乃は、どれを頼むんだよ?
早くしろ。こっちは、忙しいんだぞ」
翔馬君は、照れているのか
頬を少し赤くさせながらそう言ってきた。照れている。
そういう私も何だか照れてしまった。
彼女だと言われたからかもしれない。
「えっと……じゃあ、この。
ティータイムセットを……1つ」
ティータイムセットは、好きなケーキを1品と
飲み物がついてくる。
値段も700円でリーズナブルだ。
「じゃあ、好きなケーキを選べ。
俺のオススメは、甘さ控えめなショートケーキか
ちょっとビターなチョコケーキだけど。
チーズケーキも美味しいぜ?」
「あ、じゃあチョコケーキで……」
ショートケーキとチーズケーキも大好きだけど
今は、チョコケーキが食べたかった。
ちょっとビターってところも気になった。
「飲み物は?」
「えっ……えっと。紅茶のホットを1つ。
ミルクの入ったやつを…」