【あらすじ】

 遠見村で暮らす紗矢は『トオミサマ』と呼ばれ、政財界の重鎮たちに託宣をもたらす巫女のような存在だ。翠という名の美しい少年と家族と共に、大きな屋敷で暮らしている。
 村には、輝く船に乗って空から降りてきた貴人が遠見の力を村人に授けたという伝承があった。貴人がやって来た日を祝う祭の日、紗矢は真実を知る。
 本当の『トオミサマ』は翠の方で、しかも彼は伝承の貴人であり、異形の存在なのだと。彼女は彼の餌となるべく育てられていたのだ。しかし翠は紗矢を逃がす。

 必死に生き延びライターとなった紗矢は、再び遠見村を訪れる。そこで彼女は全く変わらぬ姿の翠と再会した。紗矢は翠を村から解放したかったのだが、翠は抵抗する。どこにも行けない、孤独に疲れたと嘆く翠を強く抱きしめる紗矢。

 村から戻り、いつもの日常が戻ったように見える紗矢。
 だがそんな紗矢の体には、かつて翠の体にあったものと同じ異形が刻まれていたのだった。