依と朝陽を見てから、3年後。

駅前の大きな書店に並ぶのは、朝焼け色の表紙たち。



「あ、これ今超売れてる本でしょ?確か現役医大生作家のデビュー作っていう」

「そうそう、私も読んだけどめっちゃ泣けるよ。ちょっとファンタジーっぽいんだけどさ」



依との日々を僕なりの形で残しておくために。僕はあのことを小説にした。

運良くそれは様々な過程を経て、たくさんの人の目に触れられる形となった。



周囲に、夢や妄想だと笑われても構わない。

胸の中のきみに笑われないように、いつか会えるときに胸を張った自分でいられるように。僕は、書き続けていく。



今、ひとつだけ願いが叶うとしたら僕はなにを願うだろう。

それを見つけていくために、今この瞬間を愛し生きていくんだ。



表紙には朝焼け色の空の下、笑う女子高生の姿。

『神様、ひとつだけ』 双木洸太/著



これは、僕と依の奇跡のような物語。





end.