北の大地、北海道。

広大な土地に豊かな自然が広がり、夏は涼しく冬は一面銀世界に染まることで観光地としても人気の高いエリアだ。



その北海道の玄関口、新千歳空港を出てすぐのところにある千歳という街で僕は生まれ育った。



ショッピングモールやビジネスホテル、飲食店などが並ぶ駅前の大通り。

そこから一本入るとグリーンベルトや大きな自然公園、住宅地などがあり、のどかで住みやすい街だ。

その反面市内には自衛隊の駐屯地があり、ときには道路を普通に戦車が走っているようなところだ。



そんな千歳の駅からほど近いところにある、市内唯一の高校。

少し小高い坂を登ったところにあるその高校には、グラウンドを囲むように木々が並び、桜を咲かせる時期を待っている。



そんな景色を教室の窓から見る、高校3年の4月。

今日の授業を終えた放課後の開放感からにぎわうクラスメイトの中、僕は窓際一番後ろの席で鞄に荷物をまとめていた。



どこに寄って帰ろう、部活に行かなきゃ、そう話す人々の中、廊下から響く高い声が耳に入った。