「良かった……無事で」

ギュッと抱き締めてくれる優しい
ぬくもりに涙が溢れてきた。
良かった……ご無事で!!

「アイリスは、ギルスの人間でもある。
悪いけど帰してもらうよ!」

「くっ……小癪な。ならまた改めて奪い返すだけだ。
アイリスは、絶対に我々が連れて帰る。かかれ!!」

リュウ様の言葉に影近が、怒り号令をかけた。
他の忍び達は、手裏剣を投げてきた。
ど、どうしよう。私も戦いたいが短剣をアイツらに
没収されてしまった。
攻撃が素手しかないため戸惑ってしまう。
すると陛下が剣で手裏剣を弾き返しながら
私に何かを投げてきた。

「アイリス。これを使え!!」

「えっ?」

慌てて受け取り見てみると私が普段つけている
ウェストポーチとまったく同じタイプのだった。 
中身を確認すると短剣が何十本が入っていた。

「どうせ。没収されていると思って
代わりのを持ってきた。それで足りるか?」

「十分です。ありがとうございます」

さすが、陛下。そうなると推測して持って来てるなんて
侮れないわね。
私は、すぐさまウェストポーチを腰につけた。
そして両手に短剣を持った。

「援護する。お前らかかれ!!」

陛下が、そう命令をすると兵達は、弓を放った。
防御に入る忍び達。
私は、弓の速さに合わせて走った。

「覚悟しなさい!!」