「この子が、木の上でおりられなくなっちゃったから
助けていたんだ!」
国王陛下は、そう言いながら飛び降りてきた。
この子……?
陛下の持っている物を見せてもらうと
小さな子猫が抱かれていた。
可愛らしい白い猫だったがあちらこちらに
怪我をしていた。
「可愛い~でも怪我をしているわ」
「可哀想だろう?
こんなに震えて怯えている」
国王陛下は、そう言うと子猫を私に渡してきた。
震えているし、よほど怖い思いをしたのだろう。
子猫は、小さな鳴き声をあげた。
「捨て猫かしら?それともそれとも迷い猫?」
どちらにしても可哀想だ。
もし飼い主が居るのなら早く見つけてあげたい。
きっと心配をしているだろうから。
「どうだろうな。怪我からして、もしかしたら
大きな鳥が捕まって連れて来られたのかもしれない。
新しい里親が見つかるまでお城に連れて行こう。
こんな山の中だと獣に命を狙われるからな」
「そうですね」
こんな山奥に夜まで居たら
間違いなく獣の餌食になるだろう。
早く連れて帰って怪我の手当をしてあげたい。
「じゃあ、アイリス。
その子猫のこと……よろしくな」
国王陛下は、そう言うと立ち去ろうとした。
おいおい……。
何で私に押し付けて陛下は、何処かに
行こうとするのよ!?
「ちょっとルチア様!?どさくさに紛れて
何処かに行こうとしないで下さいよ!!」
私は、慌てて国王陛下を止めた。
危なく逃がすところだった……。