陛下の指した方向を見るとラブホだった。
キラキラと華やかに建っていた。
ちょっと、何処に行きたがっているのよ!?

「いや。無理ですから一国の国王が、
そんなところに行ってどうするのですか!?」

「えっ~いいじゃん。割引券さっき知り合いの
おじちゃんから貰ったし」

おいおい……一国の国王が何で知り合いのおじさんに
そんな割引券を貰っているのよ!?
渡す人も何を考えているのか分からないが
こんなところを噂になったら一国の恥だわ。

「ダメなものは、ダメです。
ほら、さっさと買い物して帰りますよ」

「えっ~行きたいのに」

ブーッと頬を膨らませる陛下。
まったく……。どうも国王陛下なのにそれを
忘れてしまいそうになる。
それは、この性格のせいだ。

厳格で高貴なお方に居てもらわないと困るのに
本人は、のんきで気さくな性格をしている。
それに自由奔放なお方だ。
そのせいか民まで舐められているように感じた。
ハァッ……とため息を吐くと

「それよりも何処のお店に立ち寄れば……」

国王陛下に話しかけようとしたら
いつの間にか姿が無かった。また~!?
慌てて辺りを捜すと陛下は、子供達と遊んでいた。

「ちょっとルチア様ってば!!」

呆れながら追いかけると陛下を連れ戻した。
しばらく陛下の行動に振り回されながら居ると
服がボロボロになった綺麗な女性が
息を切らしながら私達に助けを求めてきた。

「た、助けて下さい!!」

どうしたのだろうか?
するとその女性は、慌てて国王陛下の後ろに隠れた。
そうしたら3人の怪しい盗賊が私達の前に現れた。
私は、咄嗟に国王陛下の前に立ち盗賊達を睨み付けた。