「言った、言った。
帰ったらコックにアップルパイを作ってもらおう」
「あぁ、いいですね。
私もコックの作るアップルパイが好きで……」
私は、ハッとした。ついつい孤児院の居るつもりで
話してしまったが相手は、国王陛下。
お礼を言ったかの問題ではなかった。
「あらあら可愛らしいメイドさんね?」
「ルチア様の専属のメイドさん?」
メイド……?
あ、そういえば慌ててたから着替えるのを
すっかりと忘れていたわ。
今の私の格好は、騎士服ではなくてメイド姿だった。
しかも服が服だけに恥ずかしくなってきた。
「そう。一緒に買い物に来ていてな。
じゃあ、俺行くわ。また話を聞かしてくれ」
国王陛下は、私と手を繋ぐと笑顔で主婦達と別れた。
ちょっと国王陛下!?
国王陛下は、ニコニコしながら街中を歩いて行く。
すると民の人々は、私達に気づいた。
「キャア~ルチア様よ!」
「あのメイドって誰?」
「セクシーだなぁ~あのメイド」
街中は、すっかり注目の的になってしまった。
無理もない。この国を治める国王陛下に
きわどい服のメイド。どう考えても目立ってしまう。
やめて……恥ずかしい。
恥ずかしがっていると国王陛下は、指を指しながら
「アイリス。帰る前にあそこにも立ち寄ろうな?」と
言ってきた。
えっ……?