医者になって10年。
それなりに自制心も持っているつもりだった。
しかし・・・

はー。
俺は一体何をやってるんだ。


昨日から、俺はイラついている。
原因は、突然現れた幼馴染の栗林有香(くりばやしゆか)。
相談内容も深刻だったが、妙に桜子先生を意識する有香の態度も気になった。
昨夜はあれこれ考えて、寝られなかった。

なのに、
合同カンファに遅刻してきた桜子先生。

酒臭くて、二日酔い。
その上、「仕事はちゃんとします」だと・・・
何がいけないのかって態度が見えて、ブチ切れてしまった。


カンファレンスで叱った後、医局に戻った俺のもとへ桜子先生が謝りに来たが、無視するように追い返した。

許せなかった。

一緒にいた看護師の担当師長と、和泉先生の指導医に電話をかけた。
二日酔いの看護師達は自宅に帰され、和泉先生は今日のオペを外されたと聞いた。

それでも収まらない俺は、
これから1ヶ月間ずっと、土曜日の救急当直に2人を入れた。



トントン。
ドアをノックする音。

「どうぞ」

現れたのは、桜子先生。

「なに?」
「先生、なんで私だけじゃなくて、みんなの上司にまで連絡したんですか?」
涙ぐみながら、詰め寄る。

「文句を言いに来たの?」
「はい。なんでそこまでするんですか?」
悔しそうに睨む。

「帰りなさい。今は冷静に話せないでしょう?そもそも、僕に文句を言う前に自分の行動を振り返るべきだと思うよ」
冷たく言った。

今はまだ優しい言葉をかけてやる気になはなれない。

しばしの沈黙の後、桜子先生は出て行った。

大人げないなあ・・・俺。