「お待たせ。」


玄関を出た私は、笑顔で言った。


「おはよう・・・。」


そんな私に、笑顔で挨拶を返してくれたその子は、次の瞬間、息を呑んだように言葉を切ると、なぜか私から視線を逸らした。


「どうしたの?」


「い、いや、何でもないよ・・・さぁ行こう。」


「うん。」


私達は一緒に歩き出す、今までと同じように。


3年間、一緒にこうして学校に通って来た。でも今日からは、通う場所が変わる。私達は高校生になったから。


「ちょっと緊張するね。」


「うん・・・。」


「でもよかった、久保(くぼ)くんが一緒で。クラスも同じだといいな。」


「うん・・・。」


「ねぇ、どうしたの?」


普段に似合わず、なぜか今朝は言葉少なの久保くん。私は心配になって尋ねる。


「いや、本当に何でもないよ。柄にもなく僕も緊張してるのかな。」


そう言って、ぎこちない笑顔を浮かべる久保くん。


「そうか、それは仕方ないよ。」


と笑顔を返す私。


(ヤバイ、可愛すぎる。制服似合い過ぎ。中学生から高校生になった途端、こんなに雰囲気変わるんだ、女の子って・・・。)


なんて彼が内心動揺してたことになんて、私は全然気付いてなかった。