あれは、くるみちゃんが生まれる前のいつかの夏。

ヒマワリ畑を見たいと言った私のために、二家族で遠出をする計画の当日だった。
だが生憎その日は朝から雨が降り、行くのをやめようかと松原さんたちが話していた。

そのときの私は実は一度もヒマワリを見たことがなくて、どうしても見てみたかったのだ。
だが運転するのは松原さんのお父さんだし、私なんかが我儘を言ってはいけない。
そう思って、今回はやめておこうかと言う祖父の優しい声に笑顔を作って返事をした。

そんなとき、向こうからやたらと大きな声が聞こえた。

「いやだいやだ、絶対見に行くんだ。今逃したら来年まで見られないんだ」

あまり聞かない、優史の怒った声だった。

「ユウちゃん、いいよ別に。来年また行こうよ」

本当は見に行きたかったくせに、私は優史の肩を持たず、一緒に宥めに入った。

しかし、
「俺が晴れにするから。何とかするから」

訳の分からない言い訳で説得させようとしてきた。


そこから20分以上駄々をこね続け、そんな優史に両親は根負けして私たちは雨が降る中、車に乗り込んだ。