「そんな…課長謝らないで下さい!!
私が至らないばかりで……あの
1つ聞いてもよろしいですか?」

彼女は、申し訳なさそうに思いながらも
俺に質問をしてきた。
あぁ、父さんのことか……。

「あぁ、父さんの事だろ?
反対していたからね。ついでに
みっともない姿も見せちゃったしね」

彼女の前で親子喧嘩なんて
大人げないことだったと反省する。
みっともないよな。
彼女は、何も言えず黙ってしまった。
そして父が無闇に反対してる訳ではないと
思っていた。俺の事を想ってではないのかって……。

「まどか。当たりだ!
父さんは、俺のために言ってくれてる。
俺がこの力に頼り過ぎないように」

そう……全て俺のためなんだ。
彼女は、驚いた表情をする。
意味が分からない様子だった。そんな彼女に
俺は、ある質問をしてみた。

「まどか。この世には、けして逆らったら
いけない事がある。
それは、何か分かるかい?」

「えっ?えっと……犯罪とか…?
あと人を殺す事とかでしょうか」

悩みながら自分が思った事を口に出してくれた。
素直でもっともらしい答えだった。
そうだね。それも重い罪だね。

「あぁ、その通りだ。
どちらもまどかの言う通り…仏に背く行為だね。
それもこの世で逆らったらいけないこと。
でもね…まだあるんだよ!」

「まだ、あるのですか?
それは、何ですか?」

「仏が、もっとも嫌う行為。
犯罪や人を殺すのもそうだけど
時の流れを変える事だ。俺やお祖母様の能力は、
死んだ人をまた呼び寄せ、止まってしまった時間を
変えしまう。 それは、いい事をしているように見えて
本当は、仏の教えに背くものでもあるんだ!」

彼女は、さらに驚いていた。
俺は、クスッと笑うと抹茶を飲む。
そして、静かに語ることにした。

「後悔や懺悔もまた、一生で一度きりだからだよ!
人生とは、皮肉でね。過去に起きた事を来世で
消散しようとするんだ。殺した経験のある人は、
来世で恨んでいる人物に殺されたりイジメられたり。
人を陥れようとした人は、来世で逆の立場になったり
それより重い罪を背負わせたりするんだ。
どちらも合わせてプラスマイナス0にさせられる。
それは、仏が不公平にさせないための教えなんだ。
人を陥れようとすれば、いずれ自分に返って来ると言うね」

だから悪い事は、するものじゃない。
いずれ自分で代償を払わないといけなくなるから
例え…今はいい思いをしていたとしても
仏様は、必ず見ている。