あまりにも腹が立ち思わず言い返してしまった。
すると私をジロッと睨み付けてきた。
ビクッと怖さで肩が震えてしまった。

「……あなた名前は?」

えっ?名前?
何故急に名前なんか聞くのだろうか。
戸惑っていると

「聞こえなかった?名前よ。
二度も言わせないで」と
さらに強い口調で私に言ってきた。

「長谷部です。長谷部まどか」

慌てて名前を言うとタブレットを出して
何かを調べ始めた。
そして私にそのタブレットの中身を見せてきた。

「長谷部さん。あなたの履歴を調べた所
西園寺君の指導のもとで契約をいくつか取っているけど
個人で取った契約は、たったの0回だそうね?
それは、つまり契約が出来たのは、
西園寺…課長のお陰で間違いないのかしら?」

うっ……。
自分が気にしてる事を言われてしまう。
それは、間違いないけど……そんな
人前で言わないでほしい。

「…そうですけど」

「まともに営業も出来ない人が上司に楯突くとか
何を考えているのかしら? 
文句を言う暇があったら、まともな契約を取って
ノルマを達成してからにしてちょうだい。
他の人達も同じよ。今までの甘い考えを捨てて
ノルマを達成してちょうだい。
達成が出来ない者は、今後のリストラ対象者に
なると思うこと。以上」

バッサリと酷い事を言い切る課長代理。
胸がグサッと刺さってきた。
もちろん周りは、ブーイングが飛んだ。
だが彼女は、気にする事なく席に着くとパソコンの
キーボードを打っていた。

し、信じられない。こんなの横暴じゃない!!
私は、慌てて抗議する。
こんな理屈が通る訳がないわ。

「いくらなんでも無茶苦茶ではないですか!?
ノルマやリストラとか、そんなの
契約違反です!!」

「あら。だから今の世代は、成長が出来ないし
会社がダメになっていくのよ。いい?
使えない人間をいつまでも残すほど甘くないわ。
いくらでも理由なんて作れるの。
あなた達がミスをすれば、するほどね。
私は、西園寺君のように甘くすると
思わないことね。
私が欲しいのは、使える人材だけよ!
それ以外は、いらないわ」

厳しい表情で言い放ってきた。
これ以上何も言えなくなってしまう。
私は、言い返すほどの力がある訳ではない。
言われっぱなしで悔しかった。