「大丈夫だ。やはり霊力は、
体力の消耗が激しくなるな。
半分以上持って行かれてしまった」

駆け寄って心配するまどかに苦笑いする。
もう少し……頑張ってコントロールさせないと
立体がぶらつく。

「すみません。私達のために…」

「何、可愛い部下のためだよ。
それに…ゆいかちゃんのためにも放っておけない」

そう言いながら立ち上がった。
立ち上がりゆいかちゃんの前に行くと
ポンと頭を撫でてあげた。

さぁ、お別れの時間だ。
思い残すことが無いように言いたい事があったら
言っておいで。
想いを伝えるように言った。

『お父さん、お母さん。私が早く死んじゃったけど
2人の間に産まれてきて幸せだったよ。
お姉ちゃん。迷惑ばかりかけてごめんね?
でもお姉ちゃんのこと…大好きだよ!』

必死に伝えようと口を開くゆいかちゃん。
話をしている最中俺は、お経を唱えた。
身体が、段々と薄くなっていく。
お別れが、近づいて行く。

「ゆいか!?」

『ありがとう……』

そう言うと笑顔でスッと消えていった。
さようなら……ゆいかちゃん。
ギュッと締め付けられる想いは、悲しさではない。
彼女の幸せを願ってだ。

「ゆいかちゃんは、無事に成仏したみたいですよ」

「ありがとうございます。住職様のお陰です」

何度も頭を下げてくるご両親。
これで止まっていた家族の時間は進み出した。
前を向いて歩いて行けるだろう。

「では俺は、これで……」