『だって、ゆいかちゃんと
お別れになっちゃったんでしょ?
ゆいかちゃんを妹か娘みたいに可愛がっていたから。
龍心ちゃんの事だから
泣いているのではないかって思って…心配で』

えっ……?
その言葉を聞いた時、驚いたけどハッとした。
寂しい気持ちの理由が分かった。
そうか…。ゆいかちゃんの事を妹みたいに
思っていたから寂しかったんだ。
だからあんな風に悲しかったんだと理解した。

大丈夫だよ。ゆいかちゃんは、
彼女のアパートで一晩過ごして明日
家族のもとで成仏させる事になったんだ。
俺は、笑顔で伝えた。

『……そうだったの。明日になったのね』

「……うん。」

感じる。まどかとゆいかちゃんの想いが……。
俺は、縁側まで行くと夜空を見た。
綺麗な月は、彼女らの透き通るような
心を見ているようだった。
今日だけでも姉妹仲良く過ごしてほしいと願った。

翌日。俺は、彼女の実家に向かった。
住所なら知っているが行くのは初めてだ。
彼女のお母さんには、お寺で何度か会った事はあるが。
家に着くとインターホンを鳴らそうとした。すると

うん?どうやらゆいかちゃんの事を話しても両親は、
なかなか信じてくれないようだ。
無理もないか……幽霊なんて言っても
信じる方が難しい。仕方がない。
なら俺が補足してあげないと

「この説明は、俺の方から致します」

俺は、インターホンを鳴らさずに
直接ドアを開け中に入って行った。

「課長!?」

「あなた。確か西園寺の…」

「はい。西園寺の息子で父の代りに
代理として来させてもらいました。
それと娘さんである、まどかさんの会社
“フェニックス”で課長を兼任しております」

そう笑顔で言うと俺は、名刺の2枚をお母さんに
渡した。会社用とお寺用の名刺だ。