南風が連れてきた雨雲は、居眠りの猫がそうするように、ぼくらの国へ、春を残していった。

春だから、妻の頭には花が咲く。
「見て」
とはにかんだ妻の顔、もみあげからはえび茶色の蕾が六つ、垂れている。
「来週はお花見だね」

晩ごはんは、グリンピースの豆ご飯だった。