日中活気づいている町が、たった数時間で誰もいないひっそりとした空間に生まれ変わる。まるで、わたしがこの一角の支配者のような気持ちになれる。

 我ながらこんなの〝いい子〟のする行動じゃないよなあ、などと思いながら、マンションの傍らにある児童公園の角に差しかかる。

 このマンションはわたしの住居などではないのだが、幼馴染の友達の数人が住んでいたため、小さい頃はよくこの公園で遊んだものだ。

 端から端までどれだけ多く見積もったって百メートルもない公園だが、砂場にブランコ、ジャングルジムの三点セットさえあればどれだけでも遊んでいられたものだ。公園の周囲はツツジの生垣で囲われているほか、もう花も散ってしまった桜の木々が等間隔に植わっている。

 最近はこういう植え込みも不審者が隠れる場所になってしまうから止めるべきだという議論が巷では活発に行われているらしい、ということをふと思い出す。

 いつの間にこの国は子どもの生きにくい社会になったんだろう。わたしたちが子どものころはそんな心配をしたことなんて全くなかったし、それは周囲の大人たちだって同じだったのだろうと思う。

 なんとあのころは平和な世の中で、わたし自身もなんと純真な子供だったんだろう、と内心おどけながら公園を横切ろうとした、その時だった。