夕食後、再び部屋に戻ると、スマートフォンを取り出し、眠気について調べようとブラウザを立ち上げた。

 しかし初期ページに設定しているポータルサイトのトップ画面に、わたしが贔屓にしている製菓会社からアイスの新作が出たという(一般人にとっては大層どうでもいいことに違いない)ニュースを目にし、いても経ってもいられず財布片手に家を飛び出た。

 調べ物をしようとしていたわたしの最初の目標はその時にはわたしの頭の片隅にすら残っていなかった。

 ゴールデンウィークも近くなってきたせいか、上着をはおらずとも全く問題のない気候になってきたなあなどと思いながら近くのコンビニまで行き、目当てのアイスを無事見つけ、その場ですぐさま購入する。コンビニを出てすぐさまパッケージを開け、アイスの味を堪能する。

 水銀灯の明かりだけが頼りの暗い中、期待通りの甘さと、予想の上をいく香りにたっぷりとした幸福を覚えながら、わたしは遠回りして家へ戻る。

 うちの家は夜中に甘いものを食べるのをよしとしないため、こうしなければ家に帰った後母親にばれてしまうからだ。

 近所の人に見られる可能性も充分あるが、そう思うとちょっとしたスリルを味わえてなんだかわくわく、ぞくぞくする。

 これだからやめられないのだ。そもそも夜の街歩き、というのがわたしは好きでたまらない。