一瞬、小神が顔を上げ、むっとしたような表情を見せたが、すぐさま悲しげな目つきに戻る。

 そう、小神忠作は決して何事も完璧でわたしたち凡人がうらやんでしまうような超人ではないのだ。小神だって、打たれればへこむ。

「星野さんのおっしゃる通りですね。私は脆い人間です。完璧には程遠い、未熟者です」

「――でも、やっとわたしは先輩の人間らしいところが見られて、ほっとしました」

「……私の、人間らしさ?」

 小神とて、精神的に打撃を受けることがある。その事実を発見するだけで、どれほど小神が身近な存在に感じられることだろう。

 誤解されることを覚悟で、わたしはこう告げた。