しかしその時の小神はそうではなかった。

 わたしの反応を無視して――というより、目に入っていないのだ――話を続けた。

「私は彼女の悩みを解消すべく、具体的な行動を起こしました。彼女が私の行動を厭おうとも、お節介だろうとも――それが“彼女のためになる”と信じて」

 小神の声は今までどの瞬間どの場所で耳にしたそれよりも遥かに悲痛な響きを伴っていた。
 それまで野太さとは無縁の高く上ずった声が特徴的であったのだ。
 そしてその声こそが、小神の変人度合いをさらに高めていたのだが――そう、松本くんの野太い声とは対称的なまでに。