「ハルって、飲んでも顔色変わんないね。」
「伊織って、あんまり飲めないだろ。」
「2杯ぐらいまでなら、何とか。それ以上は、気持ち悪くなるね。」
少しずつゆっくりと、果物が入った酎ハイを飲んでいる私。それに対して、平然とした顔でビール3杯目に突入しているハル。顔を赤くしてはいるものの、同じく3杯目の弓弦。
「酎ハイとか、カクテルしか飲めないよな。」
「職場の人と飲む時は、ビールなら飲むよ。1杯が限界だけど。」
「家では飲まないタイプ?」
「金曜の夜だけ飲む。別にジュースで良いんだけど、ずっと飲まないと余計に弱くなりそうで。」
それなりに飲める程度が憧れる。よく飲めるの人の話では、お酒をぐいぐい飲まされるから嫌だって言っていた。それを聞いて、飲めるのは飲めるで大変なんだなと思った。
何気ない話をしていると、2時間以上経っていた。2人は、5杯以上飲んだと思うし、途中から違うお酒も飲んでいた。ハルは、少し顔が赤い程度で、弓弦は確実に酔っているのがわかる。
「んー、飲み足りない。」
「大分酔ってんな。」
「絡まれる前に逃げよっか。」
「俺は、今日姉ちゃんとこに泊まる予定だったから、この店にしたんだ。」
「え、聞いてない。」
そう言って、私に抱きついてくる弓弦を、ハルが引き離す。確かに、このお店は私のマンションから徒歩圏内。弓弦の所からだと、1時間近く時間がかかる。ハルの住んでいる所は知らないけど、終電が過ぎた時間にあの場所で会ったんだから、多分同じく徒歩圏内。まぁ、弓弦が家に泊まることはよくあるので。着替えとかは置いてある。