辿り着いたのは、社長室だった。



“かなりマズいことになりました。今から迎えに行きます、準備しててください”


日野っちから連絡を受けたあたしは、修平には“仕事が入った”と言って帰ってもらい、ひとり迎えの車を待った。


それから、10分もしないうちに到着した車。

あたしはぼんやりとした脳で、すぐにその中へ入った。


『……』


流れる、重苦しい空気。

発車して数分経ったものの、あたしは何も口にすることができない。

日野っちも、そうだった。

いつもより真剣な表情で、ただただ口を結んでいる。



“どうやら……修平くんとの仲を、週刊誌に掴まれたようなんです”



……まさか。

まさか、そんなことになるなんて……。


いつ?

どこで?

経路は?


全く思い当たる節がない。


どうしよう。

どうしよう、どうしよう。


バクバクと乱れる鼓動。


もう、どうしたらいいの……。


脳内にぐるぐると黒い渦が芽生え、思うように思考が働かなかった。