行き着いた先は、楽屋だった。

無我夢中で飛び込み、乱暴にドアを閉める。

そこでようやく、意識がハッキリとした。


「……」


震える指で、そっと唇に触れてみる。


『本当に、キスしちゃった』


……っ。

脳内で再生されたそれに、思わずギュッと目をつぶった。


……あの時の感触は、気のせいじゃなかったんだ。

本当にあたし……。


キス、しちゃったんだ──。


ドンと頭からドアに寄りかかると、あたしはその場に崩れ落ちた。