晴れ晴れとした天候に恵まれた卒業式当日。
 式典を終えた中学校の昇降口前には卒業証書を片手に、生徒たちが記念撮影する姿や下級生との談笑で賑わっていた。
 そんな彼らとは無縁な繭子は、校門前で待ち合わせをしている祖父母を探していた。参列した父兄に交じって、繭子を呼び止めたのは朗らかそうな中年夫婦であった。

「あなたが繭子ちゃんね。会いたかったわ。これからよろしくね」

 白髪交じりの小柄で華奢な女性は、緊張する繭子に歩み寄りながら両手で固く握手を交わす。その様子を背の高い眼鏡をかけた知的そうな男性が見守っている。

 第一印象は、『優しそう』だった。
 佐伯と名乗ったこの二人は、亡くなった母の両親。つまり繭子にとっての祖父母にあたる。二人は東京で生活しているらしく、これからは三人で暮らすことになる。

 思わずその容姿に注目が行く。