バイトから帰ると、僕は早速部屋にいる信也に

「合コンの件、やっぱ無理ってマコトに言われた」

と、話した。



信也は、

「何だよ、お前。
もうちょっと押せよ、マコトちゃんも考えが変わるかもしれねえだろ」

と、かぶりを振ったが、事情が事情なのでこればかりは仕方がない。



もっとも、「友達がいない」というマコトのパーソナルな事情は信也には告げなかったが、「合コンが行われない」という結果は、信也を含む取り巻きの連中を落胆させた。



「合コン」というアイデアを切り出した広田に至っては、落胆を通り越して憤りすら浮かばせ、

「まぁ、お前に合コンとか仕切れる訳がないもんな」

と、嫌味すら言ってくる始末であった。



そして、迎えた6月。


夏フェスに臨むお金を稼ぐ為、僕は大学が終わるとすぐにバイト、という日々を送った。



「人手が足りない」
「急な休みで代わりに入ってくれないか」


身勝手とも言える職場からの声には、僕は積極的に応えバイトに入った。



その結果、僕の6月分のバイト代は、二日分の夏フェスのチケット代と静岡までの往復の新幹線の運賃をまかなえる額に膨れ上がっていた。


運送会社の倉庫でのアルバイトであり、連日の体力勝負の仕事は肉体的にこたえたが、若かった当時だからこそ出来た芸当であろう。



夏フェスのチケットも、どうにか当選を果たした。


マコトの方も前日祭のチケットが当選したようで、これで僕ら二人は地震や台風といった天変地異が無い限り、二日続けて夏フェスに行ける事が確定した。



しかし、新たな問題が一つ浮上した。


静岡という、遠方で行われる夏フェスの為、現地でホテルを確保するのは必須であるのだが、そのホテルの空きがドコにも無いのだ。



夏フェスが行われる掛川市のホテルは、当然の事ながら全滅。


その掛川市の近隣都市である、磐田、浜松、静岡もホテルの空きが全く無く、僕はこの行き詰まった状況に頭を抱えた。



『チケットが当たったら、ホテルを押さえようって考えてたけど、どうもその考え。

甘かったみたいだね。。。


タクヤの方は、どうなの?』



どうやら、マコトの方もホテルが見つからないようで、6月も終わりに差し掛かった頃、悲嘆にくれたLINEを僕に送ってきた。