「舞原、お前美術の出席日数このままじゃまずいぞ」

昼休み。

廊下をぶらぶらしているところを、美術教師に声をかけられた。

ついに来たか、と思った。

「……はあ。そうですか」

「そうですか、じゃないだろう。知ってると思うが、うちの学校は一教科でも落とすと留年だからな」

「それ、厳しいですよね」

「だから、真面目に出席さえしていれば、よほどのことがない限り落とさない。わかるな?」

「………」

うちの学校の芸術教科は選択制だ。

美術、音楽、工芸から第一希望を提出して、選べるようになっている。

だが受講生徒の人数バランスを取るために、第一希望に決まらないこともしばしばあるのだ。

僕は最初工芸を希望していたのだが、どうやらこいつは男子に人気らしい。

あっさりあぶれてしまい、美術へと放り込まれた。

こんなことなら音楽を希望しておくんだった。

歌も楽器も上手くはないが、それでも美術よりはマシなのに。

「……とにかく、そろそろちゃんと出席しなさい。一年のときみたいな特別補講は、もうないからな」

「……はい」

「天才には、高校の美術の授業なんて馬鹿馬鹿しいか?」

「……っ」