「舞原(まいはら)、わたし……」
僕の目の前でたたずむ少女が、唇を震わせている。
とてもつらそうに。
いつも気丈な彼女が、こんな表情を見せるなんて。
彼女は高遠(たかとお)。
高遠きらり。
気丈で、負けず嫌いで、努力家の
僕の最愛のひと。
その高遠が、こんなにも儚く、頼りなく見えるのは
僕の、せいだ。
「舞原、ごめん。ごめんなさい。でも、わたし……わたしは……」
いいんだよ、高遠。
いや、むしろ僕は望んでいるんだ。
君が今から僕に告げるだろう言葉を。
『さ よ な ら』を。
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