伊吹優也、高校一年。



この高校へは勉強をしに来た訳ではなく、ガキの頃からの親友と一緒に、ある目的の為に入学した。








「ダーメだ優也。一人も居ねえよ、男」








その親友がこいつ、赤間茂樹。








「一人もって…まじ?新入部員も?」



「一年はわかんねえけど、あの雰囲気じゃ入部する男なんか居ねえよ…

なんつーの、女の園?」



「マジかよ…」








昔から背は高い方だったから、中学時代は周りに誘われ、なんとなくバスケ部に入っていたが、

中1の正月、お年玉を手に衝動買いしてしまったギターが、今では俺の一番の趣味。茂樹がベースを始めたのも、その頃の俺の影響。









「ほら、あそこ」








茂樹に連れられ、軽音部の部室が見える場所へ来てみると、2.3年らしき女の先輩達の姿が見えた。








「なんか…テンション高そうだな

ギター回しして爆笑してるぞ、あいつら」



「6人居て全員女。

しかも真面目に取り組んでる素振り一切無し


諦めてスタジオにメンボの紙貼ってこようぜ」




「…他校の生徒か。

どうせなら同じ学校が良かったんだけどな」