夕方から塾でみっちりと勉強したあと、いつも通り公園に向かっていた。


すっかり日課になってしまっているこの行動も、一週間後にはもうなくなっているのだろうか。


月曜日と木曜日は塾の帰りに公園に行っていたけど、来週の木曜日は七月二十一日……。


つまりクロが指定した最終日の翌日ということになり、彼が本当に最初に決めた期間でこの時間を終わらせるつもりなら、こうして公園に行く意味はなくなってしまう。


そんなことを考えるとため息が漏れて、公園に着いた時にはすっかり心が沈んでいた。


「千帆」


「お疲れ」と笑ったクロに、私は笑顔を返せなかった。


彼への想いに気づいてからまだ二日しか経っていないのだから、気持ちの整理ができないのも、近づくタイムリミットに切なさが募るのも無理はない。


クロならそんな私の表情にも心情にも気づいていると思うけど、彼はまるで地雷を避けるようになにも言ってこない。


その態度が私を突き放そうとしているように見えて、クロへの想いは募っていくのに、彼との距離は出会った頃よりも遠く感じていた。


「そろそろ夏休みだな。今年は友達と遊びにいけるんじゃないのか?」


私がベンチに座ると、すぐに明るい声でそう投げかけられた。