第1幕 第1場。通学路にある池の畔。

※一年の女子生徒が携帯を空に向けているところへ同級生の男が通りかかる。






男子生徒/SNSにでも上げるのかい?



女子生徒/私は流行り病じゃないからそんな事しないわ。



男子生徒/病名は?



女子生徒/可愛い私、みてみて病。



男子生徒/その偏屈なセンスで男にも病名を。



女子生徒/細マッチョな俺はすぐにシャツを脱いで上半身を見せたがる病。



男子生徒/空が好きなのかい?



女子生徒/これは記憶を呼び起こす時に使う為の小道具。昔聴いていた曲を久しぶりに聴くとその頃の記憶が蘇るでしょ。フレームに納めるのは別に空じゃなく、貴方の足下に落ちている小石でも良かった。



男子生徒/なら君は、その写真を見た時に僕にナンパされた事を思い出すんだね。



女子生徒/顔と名前は知っているけど、お話するのは初めてね、B組の田中くん。



田中/初めまして、A組の窓辺さん。空に携帯を向ける君の横顔が凄く綺麗だった。僕の彼女になってくれないか。



窓辺/私は貴方の事を何も知らない。



田中/付き合うっていうのは、お互いの事を知る為の期間でもある。僕の外見や声といった第一印象に嫌悪感があるというなら話は別だが、最初の情報量なんて大した問題じゃない。



窓辺/貴方は私の横顔に魅了されたといった。それは付き合いたいと思う理由になるのかも知れないけど、私にはその理由が何もない。同意させたいのなら何か1つ私が興味を持つような口説き文句でも吐いてちょうだい。



田中/君がいつか、その携帯に保存した写真を見て今日という日を思い出した時、この日の空に出会えた事に感謝するくらい素敵な彼氏になると誓うよ。



窓辺/………。



田中/あれ?ちょっとキザすぎたかい?



窓辺/え、ごめん…どういうこと?



田中/そのキャラでアホかい!情報量少なすぎた!