お互いがお互いの仕事に夢中になりすぎるあまり、いつの間にかわたしの肌はリュウヘイ君の肌がどんなものであったか、忘れ去っていた。

 リュウヘイ君が人間だったころよりもはるかに今の方がスキンシップをとっている。おかしなものだ。

 二日も経つと、もうすっかりわたしもリュウヘイ君も犬としてのリュウヘイ君に慣れてしまった。

 人間の妻に、犬(それも立派な毛並みのゴールデンレトリバー)の夫。

 なかなか悪くはない。

 今度の日曜日には住民の目を縫ってリュウヘイ君と一緒に公園にでも出かけよう。