イワヤマさんというのは、神様の名だ。

 わたしとリュウヘイ君が出会ったのは、五年前――まだ二人が社会人になりたてだったころのこと。

 ゴールデンウィークに一人旅したとある山岳地帯の民宿・岩山荘で、わたしとリュウヘイ君はたまたま同宿となった。

 リュウヘイ君は初めて会ったときから、わたしが「妻にすべき人」であると直感的に分かっていたらしい。

 リュウヘイ君曰く、真夏の夕暮れの雷のように、〝神の啓示〟が彼の肩のあたりをびしりと打ちつけたのだそうだ。

(どうして肩のあたりだったのかは、わたしにはわからない)