
作品番号 1554429
最終更新 2019/05/29
抑えきれないほどの恋心が芽生えていたことに気がついたのは、
永遠に交差するはずのない世界に住んでいたあなたと――視線があった、あの日だった。
「あの、わた……じゃ、なくてっ。〝僕〟と、連絡先を交換してほしいです」
私は一人称を間違えたのを両手を振って慌てて掻き消してから、
「お願いします」と御影くんへ向かってスマホを差し出す。
「もちろん。実は高校入ってからこうやってちゃんと連絡先交換するの、夏越が初めてだ」
私の申し出に彼は一瞬虚を突かれた顔をしてから
まるで眩しい光を眺めるかのように柔らかく目を細めると、
くしゃりとはにかむような笑顔を見せた。
ここはまるで、青春の美しいところだけを切り取って飾った〝額縁の中の世界〟だ。
この喜びも、この胸の高鳴りも、この涙も……きっと偽物。
だけど――この夢のような世界では、最期まで、そばにいさせて。
永遠に交差するはずのない世界に住んでいたあなたと――視線があった、あの日だった。
「あの、わた……じゃ、なくてっ。〝僕〟と、連絡先を交換してほしいです」
私は一人称を間違えたのを両手を振って慌てて掻き消してから、
「お願いします」と御影くんへ向かってスマホを差し出す。
「もちろん。実は高校入ってからこうやってちゃんと連絡先交換するの、夏越が初めてだ」
私の申し出に彼は一瞬虚を突かれた顔をしてから
まるで眩しい光を眺めるかのように柔らかく目を細めると、
くしゃりとはにかむような笑顔を見せた。
ここはまるで、青春の美しいところだけを切り取って飾った〝額縁の中の世界〟だ。
この喜びも、この胸の高鳴りも、この涙も……きっと偽物。
だけど――この夢のような世界では、最期まで、そばにいさせて。
- あらすじ
- 高校一年生の少女・夏越縁は神社の夏祭りで、美貌のクラスメイト・御影千歳と出会う。
神社の名物『御影水晶』を通して、引っ込み思案な自分と人気者の千歳の間で生まれた一夜の交流に、彼女の心は淡く色づいていく。
しかし翌朝、千歳が交通事故で亡くなったことを知る。
「絶対に私のせいだ」
急いで神社へ向かった彼女は――気がつくと、入学式の数日後にタイムリープしていた。
夏越縁という名の……〝男子〟として。