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結局あのあと私は正確な返事をせずにそのまま帰った。

思えば鮫島っていつもひとりでいる気がする。なんだか自分の世界を持ってるヤツだし、ひとりでいても全然寂しそうではないけど……なんで私にあんなことを言ったんだろう。

普通自分を叩いた人と友達になんてなりたくないよね?


「美和、なんかあった?」

学校へ向かう途中、優が私の顔を覗きこんだ。


「え、な、なんにもないよ」

「そう?なんか元気がないように見えたけど」

優は後ろに目があるんじゃないかってぐらいよく些細なことに気づくけど、私の気持ちには全然気づかない。

環奈みたいに耳が赤くなったり、嬉しいとか恥ずかしいとか口に出来たらこんなにもこじらせることはなかった。

私は自分の気持ちを言葉にするのが下手くそだ。


「環奈は今日から朝練なんだっけ?」

「うん。いつか試合に出るんだって張り切ってた」

高校に入学して2か月。環奈は今テニス部に入っている。

本当は運動得意な方じゃないのに積極的に部活に入って、苦手なことを短所にしてないから環奈はすごい。

中学の時はバドミントン部で練習が忙しくなると学校の登下校が優とふたりきりになることも珍しくなかった。

私としては嬉しいけど、優とふたりだと私はいつも緊張して上手く話せない。昔はそんなことなかったのに最近は特にダメ。


「美和もなにか部活に入ればよかったのに」

「そういう優だって入ってないでしょ?」

「はは、たしかに」

だけど優と私は違う。


優だって中学の時はバスケ部に入って試合とか出てたし私は一応陸上部だったけど幽霊部員だった。

優は部活漬けの生活から一転、学業に専念したいと言って高校では部活に入らなかった。