「私は望んでない」


「嘘だ。今もほら、まだ足りないって顔してる」


葦原くんは蠱惑的に微笑んで、私に口づけた。


「俺のことは麻薬か何かだと思ってくれればいいんです。あなたを気持ちよくさせる玩具。俺にとっては、違いますけどね。あなたは可愛い俺の奴隷だ」


利害一致、と葦原くんは唇を触れ合わせながらささやいた。


「俺の部屋に行って続きをしましょう。沙都子さんを一晩中鳴かせたい」


ひとまずは満足した様子で、葦原くん帰宅を提案してくる。よろよろの私の身体を抱きとめるようにデスクから降ろし、私の鞄を持つ。腰を抱くようにして歩き出す。

私は抗わず、彼にもたれ並んで歩いた。

拒絶しようと思えばできたかもしれない。

しかし、私の身体はこの先を望んでいた。
情けなくて死にそうだった。